「ずっと、一緒に居たいね」
「…うん」
陸がクイッと雫の顎を支えて、
キスをした。
普通なら幸せ絶頂で
こんなこと考えないんだろうけど…
俺たちの場合は、
いつバレるか解らない恐怖と
いつ離れ離れになるかも解らない恐怖とで
いつも不安に襲われる…
タイムリミットがいつか
分からないんだ…
「…雫が、彼女だって父さん達に言えたらいいのに…」
「………陸」
陸の言葉に
雫の目に涙が滲んだ。
だって今にも陸が
泣きそうな顔をするから…
「…あたしは陸のものだよ」
「うん」
「…ずっと、陸と居る」
「うん」
「何があっても離れない。だから…、泣かないで」
あたしも人のことは言えないけど、
陸はよく泣く。
それだけ心が不安定なんだ。
震える声で
あたしは精一杯陸に伝えた。
雫が自分より大きな身体を
抱きしめて顔を埋める。
堂々と出来ない関係だからこそ
こういう時間は、
大切にしたい。
陸を、支えたい。
あたしはこの時、
初めて人を、
陸を、
守りたいと思った…
雫にぎゅっと抱き締められて
陸の頬に涙が流れた。
「…………っ」
人は一つの願望が叶うと、
さらに上の願望が湧いてくる。
どんどん欲張りになってくるんだ…
だから俺の中にも、
この時、
新たな願望が生まれた。
“姉弟じゃなかったらいいのに”
そしたら、
堂々と雫と付き合える。
堂々と手を繋げる。
外でキスも出来る。
────結婚も、
出来るのに…
「じゃぁ、行ってくるわね」
「うん、行ってらっしゃい!」
少し肌寒くなってきた
ある日曜日。
両親が記念日旅行へ
出掛けるため、
双子が玄関でお見送り。
静かに玄関の扉が閉まって
陸が隣に居る雫へ抱きついた。
「え、陸!?//」
「2人きり…だね?」
「…そ、そうですね///」
「1週間も、2人なんだよ?自由なんだよ?」
「う、うん//」
今日から暫く2人。
雫の胸がドキドキと
加速し始めた。
陸と2人なのはいいけど、
どうすればいいの…?
そんなことを考えてるうちに
陸がちゅ、ちゅ、と
雫の額から首筋にキスを落とす。
ちゅーっ、と首筋を
吸い付かれて
ハッと気づいた。
「え、え!?陸!?何して…」
「ん、付いた」
「付いたって…?」
「キスマーク♪」
「キ、キ、キスマーク!?//」
満足そうに笑う陸に、
雫の体温が上がる。
吸い付かれた首筋を
手で押さえた。
キ、キスマークって
あの真っ赤な痛々そうな、
────アレ?!//
「もっと付けていい?」
「!?だ、だめっ!」
ひゃーっ、と
雫がリビングへ逃げ込んだ。
その姿に陸が
ぷっと吹き出すように笑う。
───幸せ過ぎて、
どうしよう。
「雫、おいで?」
「や、やだ!また何かする気なんでしょ//」
リビングに行くと、
雫は自分の身体を
カーテンでクルクル巻いて保護。
陸が雫の姿に笑った。
「何もしないから、おいで?」
「…本当に?」
「本当に」
雫がスルッとカーテンから
抜けると陸に近づく。
陸がそれを見て
ガサゴソとポケットに手を突っ込んだ。
「雫、手出して」
「え、何…手?」
「そっちじゃなくて、こっち」
戸惑いながら右手を差し出した雫に
陸が左手を掴んで。
スッと薬指に何かを嵌めた。
「え?」
雫の目が見開く。
思考が停止した。
「良かった、ピッタリで。…誕生日、だいぶ過ぎちゃったけど」
「っ」
あたし達の誕生日は、
────7月で。
陸と色んなことがあったあの時期に
過ぎ去ってしまっていた。
「内側にさ、ルビー埋め込んでもらったんだ」
「………」
「…雫が、俺たちのこと“運命”だって、そのネックレス大切にしてくれてるでしょ?」
「………」
「神様の前では誓われないけど、雫には誓う。ずっと一緒に居る。何があっても、雫は守るから」
雫の目からポロッと
涙が流れた。
陸の言葉と
指輪がキラキラと眩しくて。
胸がきゅうっとした。
「~~っ」
声にならないくらい、
それくらい嬉しくて
ただ涙が流れる。
「…実はさ、それお揃いなんだよ」
「…え?」
「俺もつけてんの、ここに」
そう言って、
陸の首もとから出てきた
同じデザインの指輪。
「さすがにお揃いは堂々と身に付けられないから、ネックレスにしちゃった」
「っ、」
「俺のにもルビー入れてもらったんだ。なんかさ、雫のあの言葉気に入った」
情熱と仁愛で、
“深い愛で人を想いやる”
陸がそう言って笑う。
「お、揃い…?」
「うん。男が何してんだって話だけど」
すると雫がフルフルと
左右に首を振って、
ふわっと笑うと
陸にぎゅうっと抱きついた。
「ありがと、陸。凄く嬉しい!」
「うん」
「指輪も大切にするね!」
陸とお揃いなのが
凄く嬉しくて。
堂々と身に付けれなくても、
陸の気持ちがあれば充分だ。
「あ、ねぇねぇ」
「ん?」
「誕生日祝いなおそ?」
突然の雫の言葉に
陸が目をぱちくり。
そしてふっと笑った。
「いいよ」
「やったー!ケーキ!」
「…それが目的なんだろ」
「ち、違うもん」