下を向いて気まずそうに
俺に接してくる雫に

胸がきゅっと詰まった。


雫はいつも真っ直ぐで、
素直で意地っ張りで、

弱そうに見えるけど…


本当は、──────強い。



「お、おかえり」

「うん…、ただいま」

「陸に…、は、話があるの」

「…話?」



まさか雫からそんなこと
言われるなんて思わなくて、

俺の目が見開く。


飯田の“雫と話しろ”というのは
こういう意味なのか…



「とりあえず、陸の部屋…行ってもいい?」

「…いいよ」



ガチャ…と俺の部屋のドアを開けると
スッと雫が中へ入って行って、

俺も後へ続いた。


そしてゆっくりと

パタン……


ドアを閉めた。