「…陸を脅してんだろ」

「脅す?…は、人聞き悪いな。俺は何もしてない。ただ弟と同じことをしてるだけ」

「……マジで性格わりぃな、お前」



怒りが込み上げる。
拳をグッと握りしめた。

陸の野郎、
こんな奴にバレてんじゃねぇよ…


コイツ、

──────タチが悪い。



「飯田は、弟の味方すんの?」

「…味方?」

「だって、雫ちゃんを好きだなんて可笑しいだろ。“姉”としてじゃなく、“女”としてだなんて…」

「……」



ははっと笑う町田の顔を
殴りそうになるのを

必死にこらえて。

俺は雫の荷物を持った。



「…雫、ここに戻んねぇから。あとお前の元にもな」


それだけ吐き捨てて
図書室から出た。