化粧品会社のCM試写会後、詩月は大学へ戻り講義を受けた。



受講後、紙袋いっぱいのポスターをちらと見て、どうしたものかと考える。



徐に立ち上がると、「どうしたの?」と甲高い声が聞こえた。



「緒方……」



「何、それ?」



紙袋の中身を尋ねる。




「あ~、化粧品会社のポスター。

こんなにたくさんもらってもな」



「見てもいい?」



「どうぞ」



郁子は紙袋から筒状に巻かれたポスターを取り出し、スルスルと手早く広げマジマジと見つめた。



「Xceon(エクシオン)より、貴方の方が……」



言いかけて柔らかく微笑む。




広げたポスターに女学生が物珍しそうに集まり、詩月と郁子は、いつの間にか囲まれてしまっていた。




「夏化粧品のポスター?」



「清涼感が、半端ないわね」


「あなたが1番アイドルみたい」


「……笑えない冗談だな」


「1枚もらってもいいかしら」