詩月は屈託のない笑顔を暢気でいいなと思う。



「……あ、どうも」




「コンサートチケット。
7月にハーバーフューチャーホールで、コンサートやるから観に来てよ」




詩月は両手で丁寧に手渡されたチケットを受け取り、「ありがとう、良かったな」と返す。




「彼女を誘ってね」



とびっきりのアイドルスマイルを向けられる。




「ん!? 彼女なんていないけど」




「ウソ!? 詩月さん、モテるでしょ!?」




金管楽器メンバーが、笑っている。




「お前さ、緒方を誘えば?」



「緒方か……アイドルに興味あるのかな」




「なんだ、いるじゃん!!」



「緒方は、彼女とかではなくて……ライバルかな」




「おいおい。素っ気ないな。
あんな美人、他にいないぜ。ミス聖諒だし」