「そう、……ですね。
セラー服は、かなり抵抗がありましたけど……」




詩月はアイドルグループXceonに混じり、メンバーのメインでヴァイオリンを弾いている自分の姿を見つめ苦笑いする。




「違和感ないぜ」




「……ショックです」




肩を落とした詩月の仕草に思わず、笑い声を漏らしたトランペット奏者につられ、他の金管楽器奏者も笑いを堪えている。




フローラ化粧品の女性広報担当と、Xceon側の芸能会社女性広報担当は、今回もCMの仕上がりに満足した様子だった。


試写会終了後。

詩月に「秋のCMも楽しみにしているわ」と色気たっぷりにアピールしてきた。




「セラーカラーは勘弁してください」




詩月はキャップを目深に被りながら呟いた。