「え、ちょっと待って。」

頭の中で整理する。


「つまり、さっきの人の名前が分からない?なのに面識がある、と…」


「まあ、とにかくあの人うるさくて困ってたし助かったわ~。姉貴が初めて役に立った。」


「オイ」


「あ、でもあの人、前一緒にホテル行ったような…」


「……オイ!!」


私の弟はすごい奴かもしれない。


私なんか
「キスも…奪われたのに…」


思わず口をついた私の言葉に、


「気持ち良さそうにしてたくせに」


そう言ってドアを開けて家の中に入っていった彼。





私は今日、弟の唇の感触と額の危険さを知った。