「キャァァァァァァア!蓮くんと奏くんよ!!見て見て!」
と窓の外から物凄い歓声。
ん?今、蓮と奏って聞こえた気が…
気のせいかな?
ふと外を見てみると見覚えのある人影が2つ。
気のせいじゃ…ない。
間違いなく、校門から昇降口までの道をまるでレッドカーペットのように歩いている2人は蓮と奏。
私の弟とご近所さんだ。
つか、アイドルかっての。
「キャー!超イケメン!」
鳴りやまぬ歓声にクラスメイトも窓際に集まる。
「…アレ、莉子の弟だよな?…隣の奴は…」
「ご近所さん。」
「やばいな。…アイドルかっての。」
「私も思った同じこと。」
綾と通常のテンションで会話を続ける。
すると背後から
「へえ。アレ一ノ瀬の弟と近所の奴なんだ。」
と声。
それに私の心臓は感じ取れるほど強く波打つ。
振り向いて人を確認する。
「香月くん!!」
勢いで声のキーがいつもより高くなってしまう。
恥ずかしさにうつむいていると隣から綾のフォローが。
「莉子ってば、風邪引いてんだから叫ぶなよな~」
グッジョブ!綾!
綾は頭は良くないけどこういう時は冴える。
「えっ!一ノ瀬もしかして花粉症!?」
「う、うん!」
わざとらしく咳の真似なんかしてみる。
「あー花粉症の人この時期つらそうだよねー。あ、でも保健室とか行けちゃってサボれるからラッキー?」
「あははっ。それはさすがにしないよ。香月くんじゃあるまいし!」
「うるさいなー。まあ、お大事に!」
最後に私の頭をポンと叩いてから行ってしまった香月くん。