どうしよ……。
病気のこと……バレないようにしないと。
………でも、この際いった方がいいのかも。
後からいわれたって
早くいってほしかったといわれるに決まってる。
なら…今いった方がいいのかもな。
「あの…さ、トラ」
「ん?どした?」
「………俺、さ…………もう死ぬんだ」
少しの沈黙が続き、トラが口を開いた。
「…………知ってたよ」
「え………?何で…」
「雪のお母さんにさ、いわれてたんだ。雪はいつも重要なことはいってくれない。だから、せめてトラくんには知っててほしいって…これ」
そういって渡されたのは名刺。
「これって…僕の主治医の先生の番号…」
「その先生から電話がきたんだ。もう…1ヶ月の命なんだろ……?」
何も言えなかった。
トラはすべてを知っていた。
なのにずっと笑ってた。