「あ、平熱だ…」
恋夜が帰ったあと、
気を失うように眠りについた。
「よくもまあ……軽々しく嘘つけたな、俺」
何で別れようなんていったのか
そう聞かれた途端に思いついた嘘。
『もう恋夜を好きじゃない』
そんなことなんてありえないのに。
思ってもないのに。
自分の気持ちにまで嘘をつく。
「そろそろトラが帰ってくるな…。晩飯の用意でもしようかな」
冷蔵庫へ向かい食材を取り出す。
「んー、今日はトラの大好物づくしにしよっかな」
昨日は迷惑かけたし。
日頃の感謝も込めて。
「えーっと、ミネストローネとエビフライとサラダとー…」
ああ、今日は忙しいな。
俺は急いでご飯の用意をした。
ガチャ
あっ、帰ってきた!
「おかえり!今日はトラが好きなミネストローネ……」
そこにはなぜいるのかわからない人がいた。