おそらく、私はその時笑っていたと思う。


だけど、その時興奮していた浪士はそれに気づかない。


『さすがに、生身と真剣。男と女じゃ分が悪いか…』


冷静にそう判断した私は、演技で助けを乞う町娘を演じた。


「ガク ガク………
た、助けて………」


「心配するな…
取って食ったりはしねぇよ。ただ、少しおとなしくしててくれればあんただけは助けてやるよ。」


完全に油断している浪士。
隙を見てその懐に入り、刀を奪う。


ヒュッ


ガバッ


バッターン!!


私は、背負い投げの要領で浪士の首元をつかみ、投げた。


刀を奪った私は、慣れない手つきで刀を握り土方さんのところへ向かう。


「土方さんっ!!」


「………!!
何でここにいる!!下がっていろと言ったはずだ!!


冷静沈着な土方さん。焦って声を荒げていることに驚いていると、今の今まで私に手を挙げてこなかった浪士二人が一気に襲い掛かってきた。


「危ない!!」


そう叫ぶ土方さんに、2人のうちの1人が襲い掛かる。


それを横目で見ながら、慣れない手つきで迫りくる刀を受け止める。


ガキンッ!!


少し押されながらも、敵の背後にまわり刀を半回転させて力一杯峰の部分を浪士の首に振り下ろした。


「グハッ!!」


ドサッ!!


そう大きな音を立てながら、敵は地面に倒れた。