俺は、ばあちゃんが入院している病院に朝一に来ていた。
病室に行ってもばあちゃんの姿はなく、いつものテラスにいると思い、足を運んだ。
テラスには、ばあちゃんがベンチに腰を下ろしていた。
そして…隣に誰かいる。
ドアを開けてテラスに入ると、2人が一緒に俺の方を振り向いた。
ばあちゃんの側まで歩くと、ばあちゃんが嬉しそうな顔をした。
「元気だったかい?太陽」
「ああ。つか、1週間前にも来たし」
「そうだったわねぇ」
ばあちゃんと話していると、隣に座っている人物と目があった。
と思ったのもつかの間、すぐに目を逸らされる。
俺…なにかした?
ばあちゃんの隣に座っているのは、小柄で髪の長い女。
長い髪は、金髪で、日光にあたって輝いており、したにいくほど綺麗にウェーブしている。
逸らされた瞳はオレンジ。
「誰?」
「……」
「誰?」
「……」
「お前誰?」
「え、あ、私?」
3回目でようやく女は口を開き、慌てた様子だったが、俺を見るなり口を閉じた。
しかも、不機嫌そうな顔をして。
「この子は花蓮ちゃんよ」
「かれん?」
「お花の花に、蓮くんの蓮」
「ああ…。花蓮か…いい名前だな」
蓮とは、俺の親戚の同い年の男。
俺が花蓮の名を口にだすと、そいつは肩を少し震わせた。
そして、いい名前だな、と口にすると、さっきまで逸らしていた瞳を俺に向けた。