矛盾…してるな…。

あたしは、身体を動かそうとするけれど、力が入らなくて上手く動けない。
すると、ドアの方から聞き慣れた声がした。



「花蓮ちゃん。起きた?」
「静子おばぁちゃん…」



ドアが開く音。そして、ベッドの横から垂れ下がっているカーテンがシャッと開いた。
そこには、静子おばぁちゃんが薄いピンクの病服を着て立っていた。



「しず、こ…おば…あ、ちゃ…」
「無理しちゃ駄目よ。喉痛いでしょ?」



起きてから今まで気にならなかった喉の痛みが突然襲ってきた。
あたしが咳き込むと、静子おばぁちゃんは困ったような表情をした。



「だから言ったのに…。困った子ねぇ」
「ゴメンなさぃ…」
「待っててね。池上先生呼んでくるわ」



あたしは、応答のかわりに、笑みを浮かべた。
静子おばぁちゃんは、静かに病室を出て行った。