ピッピッピッ…


静かな病室に響く高い音。
心臓が動いてるよと語る音。

あたしは、音に起こされるように重い瞼を開いた。
柔らかい風に乗って、桜の花びらが入ってきていた。

今まで灰色に染まった世界に居て、誰もいない知らない場所をあるいていた。
今は…見慣れた病室。


「そっか…。またなんだ…」


あたしは、目線を真上の天井に向けた。
いつのまにか、頬を緩め、かすかに笑みを浮かべていた。


「…私は…いつ……逝くのかな…?」


誰もいない病室に、語りかけるようにして呟いた。
誰かに、答えて欲しい…。
そう思うあたしがいる。
でも、誰にも答えて欲しくないあたしもいる。