妄想話を終えると、杏は目を煌めかせて


私に質問責めをしてくる。




「本当? 名前は? 身長は? どこで会ったの? 何歳? かっこいい? 優しい?」




「そんな一気に質問されても答えられないよ!」




迫ってくる杏に思わず笑みがこぼれる。




「じゃあ! 今度会わせて?」



「……え?」





予想外の質問。



これには、何て答えればいい?




だって、私には彼氏がいない。


こんな私に彼氏なんてできるはずない。





「無理なの?」



首をかしげて聞いてくる杏にまた嘘を吐く。



「ううん! 今度会おっか!」




「うん! いつ会う?」




こうなったら、本当に彼氏つくらないといけないよね。




「じゃあ、杏にも彼氏ができたら」



「わかった! じゃあ授業始まるから後でね!」




2年2組の教室へ走り出そうとする杏にひらひらと手を振る。




私もしぶしぶ自分の席に着いて


授業の用意をした。