私は一瞬、何が起きたのか分からなかった。


ーーーバンッ!


鳴り響く銃声、目の前で吹き出す血。そして、ぐらりと傾く貴方の身体……。



「……っ副長!?」



私は急いで馬から降り、地面に横たわる彼へ駆け寄った。

彼の頭を膝に乗せると、彼は真上に見える太陽に眩しそうに目を細め、薄く笑う。



「……はっ。とうとう俺も撃たれちまったか」

「副長、貴方何をして……!
とりあえず、急いで応急処置を!」



そう言って彼の腹に目を向けた私は、ピタリと動きを止めた。

どくどくと流れ出す血は止まる気配はなく、地面を紅に染め上げていて。


この傷じゃ、もう彼は……。


思わずそこから目を逸らすと、諦めたような瞳の彼と目が合う。



「どうだ、これじゃあもう助からねぇだろ」

「………っ、何故ですか……」



銃声が鳴る直前。不自然に馬を寄せ、まるで私に覆い被さるように手を広げていた貴方。

彼は。彼、は。



「どうしてっ!私なんかを庇ったりしたのですか…!」



彼は私の光だった。私は彼の影だった。
彼を護ることが、私の生きる意味だった。

それなのに、私は…!



ギュッと唇を噛み締める私の手に、彼がそっと手を重ねた。


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