-凛side-


『ホントに大丈夫なのかよ』

「ええ、大丈夫よ」


ホントかよ・・・

この間からずっと何でかジャージだし、今だって髪が若干濡れてるし・・・


『まっ、大丈夫っつーならいいんだけどよ

風邪は引くなよ』

「引くわけ無いじゃ無い

だって、私風邪引いたこと無い・・・クシュン」


・・・・・・クシュン?

『風邪引いた?』

「引いてない

バカは風邪引かない」

『それ、お前・・・

自分バカですって言ってるようなもんだぞ』


つーか、莉央がバカなら俺や俊弥はどうなるんだよ・・・

風邪じゃ無くて病気か?


なんの病気だよ・・・


そりゃあ、莉央に恋煩いしてるけど・・・つーか、恥ずっ


心の中で思っただけだけど、恥ずかしいわ!!


「・・・どうかしたの?

急に黙り込んだあげく顔赤くして」


『い、イヤ!

何でも無い!』
「・・・?

あっそう」

『・・・・・・』

あ、アブねえ・・・


ふう・・・

ため息をついていると、外をボーッと見ていた莉央がボソッと呟いた

「だいたい、バカは風邪を引かないって言うのは、バカは風邪を引いていることに気付かないだけであって・・・

よって私はバカじゃ無い」


・・・・・・莉央?

誰に言うでも無く呟いた言葉はやけに早口でよく言えるな・・・って感心するくらいだった


いや、マジですげえ

俺なんか、

早口言葉全くいえねえもん


前に俊弥と早口言い合って2人して噛みまくった


まあ、後で柊先生に呆れられたけど


『よしっ!

仕事終了!』

「やっと終わった・・・」

『俺、柊先生届けてくるよ

帰って身体暖めとけよ』

「・・・ありがとう」


教室を出て行く莉央の背中を見て、やっぱり心配になる・・・


はあ・・・

やっぱり、俺・・・



莉央のこと好きなんだなあ・・・



side終了


家に帰れば、

「りーおっ!

おっかえりー・・・ブッ!!」


私めがけて真誠兄さんが走ってきたから、玄関のドアをしめると勢いよくドアにぶつかった

『・・・いきなり止めてくれる?』

「つーか、莉央なんで濡れてるんだ?


風邪引くぞ?

・・・それに、顔なんか赤いぞ?」


私の額に手を当てる

・・・冷たくて・・・気持ちいい・・・・・・


あれ・・・?

・・・なんだろう・・・頭が重い・・・


『ま・・・こと兄さん・・・』

「!?

莉央!?お、おいっ!」



真誠兄さんの声が遠くなっていく

頭も真っ白になって、何も考えられなくなっていく・・・




こんなの初めて・・・






助けて・・・俊弥・・・・・・
圭司side


『ったく・・・面倒ごと増やしてくれやがって・・・』


理科準備室で数枚のプリントを机の上にちりばめる


そこのプリントには各学年に居る例の三浦ファンクラブのメンバーの顔写真とテスト結果が載っている


莉央の話だと、こいつらだな・・・

俺の仕事を増やしているバカ生徒共は・・・


さて、どうしてやるものか・・・



などと、頭をひねっているとスマホの着信が鳴る


・・・誰だ?

俺に電話かけてくるヤツ・・・


つーか、職務中に電話かけてくるヤツなんて1人しか思いあたらないな・・・


『圭司!

職務中に電話かけてくるんじゃねえよ!



…真誠!』

「た、たた大変なんだ!


り、莉央が!莉央がぶっ倒れて動かないんだよ!」


『!?

莉央が?』


あまりにも焦った声に冗談なんかじゃ無いと気付く


確かに電話越しでも莉央の息づかいが荒いことはわかる


やっぱり風邪引いたか・・・



こいつら・・・後でどう調理してやろうか・・・
残りの仕事は他の教師に押し…頼んで家に向かう

ったく、莉央が風邪ひくなんていつ以来だ?

……確か…ああ、小学生の頃に西森の落とし物拾いに川に飛び込んで、インフルエンザにかかった時以来か…


今回は、インフルエンザじゃないことを祈るけど…

それよりも

母さん慌てなきゃいいけど…

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