「やっぱり、2人って付き合ってたの?」


違うよ。

勘違いしないでよ!詩織ー!


「違うぞ」


ん?

宮本・・・?


なんで、私と俊弥が聞かれたことに、あんたが答えてるの?


まあ、別に言ってることは真実なんだけれど・・・


「凛・・・

お前・・・」


「悪いけど、お前だけに良い思いさせねえからな」


2人共背が高いから、若干見上げなければいけなくなる


何を私の頭上で討論をしているの?


そして、詩織は寂しそうな・・・悲しそうな顔をしているの?




『あ・・・』


時計を見ると、あと数分でホームルームが始まる時間だった。


他のクラスメイトは自分の席に着いていた



そして、頭上ではいまだに俊弥と凛の討論が続いていた。


『いい加減に・・・しなさい!』



その2人を下敷きで叩き、正座をさせる。



『まったく、いい加減にしなさい。


もう、ホームルームの時間よ。


みんなが席に着いているというのに、貴方たちだけが席に着いていないの!


罰として、数学のプリントを5枚用意するから、やっておきなさい!』


「うえっ!」

「なんで俺まで・・・」


私の言葉にうなだれている2人


当たり前よ!

集団行動を乱すようなら、容赦しないんだから!



「おい・・・三浦、宮本。

さっさと座れ。


つーか、なにがあった?」


兄さん・・・いつの間に・・・


『何もありません。

気にせず、ホームルームを始めて下さい。』


「そのつもりだけどよ・・・

誰か、こいつ等を片付けてやれ。

それか、保健室につれてけ」


すると、ガタガタと音を立てて、三浦と宮本が席に着いた。

息ピッタリ・・・


さすが、チームメイトってとこなのかしら?

「やっぱり、容赦のないこと


少しは躊躇しようよ・・・」

『イヤよ。

厳しくしないと直らない人っているでしょ?』


「厳しすぎだから・・・

あれ・・・ちょっと気の毒になってくるわ・・・」


そう言って、詩織が指指した方には・・・


「なんだよこれ!

まったくわかんねえ!」

「わかんねえ!

助けてくれー!莉央ー!」


イヤよ。

三浦の場合、このプリントの結果で今日教える内容を決めるんだから。


宮本は・・・知らないわ。

でも、少し意外だったわ。


宮本もあのプリントが解けないだなんて。

『詩織。

宮本に教えてあげたら?』

「え!?

えっと・・・それは・・・ちょっと・・・」




幼なじみなら教え合えるとおもったんだけど・・・


ダメだったのかな?

『さすがね・・・見事に全滅だわ』

「うっ・・・

仕方ないだろ!

数学は嫌いなんだ!」


放課後の教室で三浦にやらせたプリントを見ていると・・・


「あれ?

もしかして、教室使ってる?」

「えー・・・マジで!

練習出来ねーじゃん!」


楽器をもった集団が教室の入り口で固まっていた。


・・・吹奏楽部の人達・・・だよね。


『別にいいですよ。

教室、使っても。』

「えっ!?」


『家でやるわよ。

三浦・・・


早く帰りましょう』


三浦の耳元にボソッといいながら、鞄を取る。

その瞬間、三浦の顔がボンッと赤くなった。


てか、なんでそれだけで赤くなるの?



『早く行くよ。

じゃないと、置いていくよ。』


「ま、待てよ!

置いてくなよ!」


遅いと置いていくものじゃないの?

「あ、俺


自転車取りに行かなきゃ・・・


わりい!ちょっと待っててくれ!」


『1分だけよ』

「みじけえ!」


自転車置き場から此処は近いじゃない

1分で行けると思うけど?





1分ちょっと前に自転車を持った三浦が現れた。

すごい息乱れてるけど・・・大丈夫なの?

とりあえず・・・

『・・・お疲れ』


「莉央が時間制限付けるからだろ!」

『・・・じゃあ、今日私のところで晩ご飯食べていく?』


それを伝えると、三浦の顔が明るくなった。


・・・なんで?



「マジで!いいの!


よっしゃ!」

『早く帰るよ。


じゃないと、あいつが出てくるから』

「え?

あいつって誰?」




『家に行けばわかるわ』

「おい!“あいつ”って誰なんだよ!


おーい!莉央-?」


校門を出た辺りからしつこく聞いてくる三浦。


しつこすぎて・・・



なんか・・・苛つく・・・


「莉央さーん!

おーい!


“あいつ”について教えてくれよー!」


『しつこい』


「んなっ!」


三浦に対して一言告げると、ショックを受けたのか立ち止まる


そして、その三浦を置いていく私



急がないと・・・


ニートの大好きなアニメがはじめっちゃう・・・!

『・・・ただいま』

「おじゃましまーす!」


『静かにして!』


大声で叫ぶ三浦の口を手で塞ぐ

すると、三浦の顔が段々赤くなっていく



静かになったあと、手を離すと

「なにすんだよ!」

『だから静かにしなさい。

また騒ぐようなら・・・・・・



そのうるさい口を塞ぐわよ?』


三浦の顔がまた赤くなる。


今の何処ら辺に赤くなる要素があったのかしら?



まあ・・・とりあえず・・・


『三浦。

早く、私の部屋に行って。

2階上がってすぐだから』

「え!?


お、おいっ!」


三浦の背中を押しながら階段まで誘導する



すると・・・


「莉央?


その男誰だ?」


まずい・・・!


見つかった・・・!

「莉央?

どうかしたのか・・・?」


『・・・っ!


バ、バカ・・・!こいつの前で名前・・・!』


「“莉央”・・・?」


まずい・・・


おかしなことになる前に・・・


『三浦、行くよ!』


「え!?ちょっ!


うわあ!」


「あ!オイッ!

待てよ!莉央!」


三浦の手を掴んで私の部屋に向かってかけていく


それを静止しようとあいつが手を伸ばしているがそれを振り払う



誰があんたなんかに捕まるものですか

部屋に入ると状況を何もわかっていない三浦が


「今の人誰なんだよ!

泥棒か!?なら、警察!



つーか、今のって・・・柊先生?」


早口で聞いてくるけど・・・


兄さんなんて居たっけ?



私が首を傾げているのに気付いてないのか・・・


「あれ?

でも・・・柊先生にしては雰囲気が・・・



何でだ?」


私に振るの?


・・・・・・・・・


『他人のそら似よ。


警察に電話しましょう?


泥棒なんて排除しましょう・・・』


あんなヤツ、正直うるさいだけだし・・・


するとドアの向こうで


「ちょっと!

俺ドロボー扱い!?」


・・・ドアが壊れる・・・