「取りあえず、周りの奴に言うなよ。


特に、三浦とか、三浦とか、三浦とか・・・」


三浦しかないよ!


『なんで、三浦しかないの?』


「あいつは、バカだからな・・・


ついうっかり言っちまうかもしれねえ・・・」


・・・てか、兄さんの後ろ・・・



『兄さん』


「あぁ!?」


『後ろ・・・』


水槽・・・メダカ・・・


「後ろ?


・・・うわあああああああああ!!」



兄さんの後ろでは、水槽の水が溢れ、床に散乱しビチビチ跳ねていた。



クロメダカとシロメダカが・・・



『じゃぁ私戻ります。


仕事残っているので




片付け、頑張って下さい』











-圭司side-

俺のメダカたちを水槽へ丁寧に戻していると・・・




いつの間にか莉央が居なくなっていた。


・・・あいつ・・・!


『クソッ!

いつの間に居なくなりやがった・・・!』


最後の1匹のシロ(メダカ)を水槽に投げ入れる。



・・・・・・ああ!!

シロおおおおお!



ごめんよ!


ショックでうなだれていると


《電話だよー電話だよー》


『どんな着信だよ!

・・・あの野郎・・・また勝手に変えやがった!』


スマホの画面には〈クズ虫(真誠)〉。


『仕事中に電話かけるなって言っただろうが!』


叫んだ後、ボチャン。と音が準備室に響いた


ん?


“ボチャン”?


あ・・・

携帯が・・・ウソだろ・・・



水槽の中につい、携帯を投げ入れてしまっていた

まあ、携帯は別に防水だったから良かったとして・・・


それよりも・・・


『大丈夫か!?

シロ!クロ!ライ!キリ!・・・』


メダカ全13匹の名前を1匹1匹呼ぶ


そして、壁に手をついて

『・・・クソ・・・』


と、呟いていると・・・


「・・・なにをやっているのですか?

柊先生」




げ・・・吉良沙帆(きら さほ)・・・


「そんなイヤそうな顔しないでくださいよ!




・・・クッキー焼いてきたんです!どうぞ食べて下さい!」


ポンッ。と、机に可愛らしくラッピングされた袋を机の上に置いて、


「それじゃあ!」


それだけ言って去って行った。


つーか、普通に置いていったけどよ・・・


『校則違反だろーが。

つーか、なんで誕生日じゃねーのに』


仮に誕生日だとしても、知ってることに引くぞ?


後で反省文でも書かせるか

教室に戻ると、時間が時間だったのか部活の無い人間が教室に集まっていた。


「おっはよー!

莉央!」


『おはよう。

詩織。』


丁度、鞄の中身を移動させていた私の親友。

西森詩織(にしもり しおり)。


さっき訳のわからない行動を起こした“宮本凛”の幼なじみ。



「?

どうしたの?

変な顔して」

『いや、なんでもないよ。


三浦が宿題やって来たのか考えてただけ』

「え!?

なんで三浦君!?」


口から出任せを言っていたら、めっちゃ驚かれた。

口から出任せっていっても、5分の1くらいは考えてたけどさ。


「やっぱアレなの!?

付き合ってんの!?

どうなの!」

ブンブンと、私の肩を手で押さえ身体を揺らし問いかけてくる詩織。


イヤ、付き合ってないけど


『勉強教えてるだけよ。

要領が悪すぎるわ』

「そうなの?

あの、ストライカー君が?」


あいつ、ストライカーなんだ・・・

『詩織も勉強教えてあげようか?』

「イヤ、遠慮しておくよ・・・


前に教えて貰ったとき、莉央・・・スパルタだったから」


『そうだった?

それより、教えて欲しいって言ったのは詩織でしょう?』


そう、それは前のテストの時に泣きすがられた記憶がある・・・


その時に宮本と詩織をしごいたような気がする・・・


宮本はついででしかない


教えているとき宮本の顔が始終若干赤かったような覚えもある


「莉央-?

りーおっ!

どうしたの?考え込んじゃって」


『え?

考え込んでないよ。

ただ、前のテストの時のことを思い出していただけだよ』


なんて、会話を2人でしていると・・・


「オーッス!

よっ!莉央、西森」


「あ!

三浦君。

おっはよー!」


『さっきぶり。

三浦。』


私の肩に腕を回し、現れた三浦。

腕を放してくれるとありがたいんだけどな・・・

「やっぱり、2人って付き合ってたの?」


違うよ。

勘違いしないでよ!詩織ー!


「違うぞ」


ん?

宮本・・・?


なんで、私と俊弥が聞かれたことに、あんたが答えてるの?


まあ、別に言ってることは真実なんだけれど・・・


「凛・・・

お前・・・」


「悪いけど、お前だけに良い思いさせねえからな」


2人共背が高いから、若干見上げなければいけなくなる


何を私の頭上で討論をしているの?


そして、詩織は寂しそうな・・・悲しそうな顔をしているの?




『あ・・・』


時計を見ると、あと数分でホームルームが始まる時間だった。


他のクラスメイトは自分の席に着いていた



そして、頭上ではいまだに俊弥と凛の討論が続いていた。


『いい加減に・・・しなさい!』



その2人を下敷きで叩き、正座をさせる。



『まったく、いい加減にしなさい。


もう、ホームルームの時間よ。


みんなが席に着いているというのに、貴方たちだけが席に着いていないの!


罰として、数学のプリントを5枚用意するから、やっておきなさい!』


「うえっ!」

「なんで俺まで・・・」


私の言葉にうなだれている2人


当たり前よ!

集団行動を乱すようなら、容赦しないんだから!



「おい・・・三浦、宮本。

さっさと座れ。


つーか、なにがあった?」


兄さん・・・いつの間に・・・


『何もありません。

気にせず、ホームルームを始めて下さい。』


「そのつもりだけどよ・・・

誰か、こいつ等を片付けてやれ。

それか、保健室につれてけ」


すると、ガタガタと音を立てて、三浦と宮本が席に着いた。

息ピッタリ・・・


さすが、チームメイトってとこなのかしら?

「やっぱり、容赦のないこと


少しは躊躇しようよ・・・」

『イヤよ。

厳しくしないと直らない人っているでしょ?』


「厳しすぎだから・・・

あれ・・・ちょっと気の毒になってくるわ・・・」


そう言って、詩織が指指した方には・・・


「なんだよこれ!

まったくわかんねえ!」

「わかんねえ!

助けてくれー!莉央ー!」


イヤよ。

三浦の場合、このプリントの結果で今日教える内容を決めるんだから。


宮本は・・・知らないわ。

でも、少し意外だったわ。


宮本もあのプリントが解けないだなんて。

『詩織。

宮本に教えてあげたら?』

「え!?

えっと・・・それは・・・ちょっと・・・」




幼なじみなら教え合えるとおもったんだけど・・・


ダメだったのかな?

『さすがね・・・見事に全滅だわ』

「うっ・・・

仕方ないだろ!

数学は嫌いなんだ!」


放課後の教室で三浦にやらせたプリントを見ていると・・・


「あれ?

もしかして、教室使ってる?」

「えー・・・マジで!

練習出来ねーじゃん!」


楽器をもった集団が教室の入り口で固まっていた。


・・・吹奏楽部の人達・・・だよね。


『別にいいですよ。

教室、使っても。』

「えっ!?」


『家でやるわよ。

三浦・・・


早く帰りましょう』


三浦の耳元にボソッといいながら、鞄を取る。

その瞬間、三浦の顔がボンッと赤くなった。


てか、なんでそれだけで赤くなるの?



『早く行くよ。

じゃないと、置いていくよ。』


「ま、待てよ!

置いてくなよ!」


遅いと置いていくものじゃないの?