拘束されている腕を外そうと力を入れても、びくともしない。

この細い体のどこにこんな力があるんだよ!


「ふふ、だめだよ。逃がさない。」


自由が利かないのをいいことに、何度も何度も触れるだけのキスが落とされる。


「ん……ちょ、待っ、んん」
「何?」
「何じゃねーよ!」
「まだそんな可愛くないこと言うんだ?」


兄貴が意地悪く笑う。

しまった、と思ったときにはもう遅い。


「可愛い言葉が言えるまで、この口塞いじゃおうか。」
「や………やめ…」


さっきまでの触れるキスとは違う、噛みつくようなキスに呼吸までも奪われる。


ど、どうしよ……
息出来な……。


「ん……ハァ……だ、め」
「ん?ちゃんとお願いしないと分からないよ?」
「んん、もー………やぁ…」
「ほら、ちゃんとおねだりして。」


悔しいと思いつつも、この息苦しさから解放されたいという思いが勝っていく。


「ゆ、許してください……おに、ぃちゃん」
「良く出来ました。」

額に落とされたキスを最後に、腕が解放される。
体が自由にされても、ぐったりとした疲労感に襲われて動く気になれない。