むかつく、
ほんとむかつく。
むかつくはずなのに……
どうして俺は、
こんなに兄貴が好きなんだろ。
――――――
俺はこの春から高校生になった。
二つ上の兄貴と同じ高校。
正直、かなり無理して入学したんだ。
俺の頭のレベルぎりぎり。
兄貴は余裕だったみたいだけど…。
どうしても同じ高校に行きたかったから。
でも現在、ちょっと後悔中だったりもする。
「うーん……さっぱりわかんね。」
俺は机の上の宿題と格闘中である。
俺の一番苦手な数学…
「集中力切れそう……。この公式使うんかな?」
「残念。不正解だね。」
「うわぁ!?」
突然聞こえた背中からの声に、体が飛び跳ねる。
振り返れば宿題を覗き込むように見る兄貴の姿。
「あ、兄貴…黙って部屋入るなよ!」
「ちゃんとノックしたよ。」
「嘘!?」
「心の中でだけど。」
と、ケラケラ兄貴は笑う。