「…小雛、どうだった?俺の国は」
「もうすごいとしか言えないよ!
皆、三篠のことを信頼してるって伝わってきたし、何より三篠が皆を大切にしてるのが分かった」
帰り道にそう言うと、三篠は少し頬を赤くして照れていた。
思ったことをただ言葉にしただけなのに。
照れてる三篠もまた可愛いかも。
しばらくすると真剣な眼差しで、三篠は夕日を見つめた。
「俺の国はあいつらを守るには小さ過ぎる。
普段はあんなに明るい奴等だが、純妖に差別され、酷い時は殺されることだってある。あいつらはそんな残酷な世界を生きている。
俺のこの小さな手で、この残酷な世界を変えてやるんだ。あいつらの笑顔のために」
三篠はギュッと手を握り締めた。
三篠はいつも皆のことを考えて、日々頑張ってるんだね。
その決意はすごくいいことだけど、一つだけ間違ってる。
「…三篠だけじゃないよ?私もいる。
二人のこの手でなら、きっと道が開けるよ。
だから一人で全部頑張ろうとしないで。
二人で頑張ろ?」
三篠の手を両手で包み込むようにして握る。
三篠は目を見開いて驚いていたが、やがて満面の笑みで私を抱き締めた。
三篠の体温が心地よくて、私も三篠の背中に腕を回す。
しばらく抱き締められて、やがて三篠は私の顔を覗き込んできた。