でも次には三篠の表情は真面目なものになった。




「…小雛。鵺姫の血はどんな妖怪が飲んでも、力を覚醒させてしまう。
敵に血を与えて俺の仲間が傷つくのも嫌だし、何よりお前が自ら傷つこうとするのも嫌なんだ。
だから無闇に己を傷つけて、血を与えようとするな。いいか?」




そうだよね。
鵺姫の傷を癒せるのは真の妖王のキスだけだけど、鵺姫の血はどんな妖怪でも飲めて力を覚醒できる。




自分が鵺姫であると自覚して、傷つくような血を流すような行動は控えろってことだよね?




私は人間であり、普通の人間じゃない。




「…うん。次からは気を付けて行動するよ」




真剣な眼差しで三篠を見つめる。
三篠はしばらく私の目を見てから、私の思いが伝わったのかふっと笑った。




「よし。いい目だ」




三篠は子供がいい事をして褒める親のように、私の頭を撫でる。




すると三篠は私から離れて立ち上がった。




「…そうと決まれば外へ出るぞ、小雛」




「…え?外へ?いいけど、どこに行くの…?」