紅葉は渋々掴んでいた私の手を離した。
そして私は唾を飲み込むと、手首を深く切りすぎないように軽く切る。
血は手首から流れ落ち、三篠の口へと滴れた。
それは止まることなく三篠の口へと流れていく。
しばらくすると三篠の唇がピクッと動いたのが分かった。
「……ん………」
「…三篠?三篠……!」
そして三篠はゆっくりと目を開けた。
よかった。
意識は取り戻せた。
あとは傷口が塞がれば大丈夫。
「…紅葉、私の部屋からタオルを持ってきて!」
「…分かりました!」
紅葉も嬉しそうに笑って私の部屋に向かった。
紅葉の嬉しそうな顔を見ると、自然とこっちまで嬉しくなってしまう。
「…三篠、傷口はどう?塞がって……」