『妖王の傷だけではなく他の妖怪の傷もそうですが、鵺姫の血を飲むことで治すことができます。』
紅葉の言葉が頭を過った。
血!私の血を飲ませれば、三篠の傷が塞がるんだよね。
どこかに刃物とか切れるものがあれば…
周囲を見渡して、切れるものを探す。
すると三篠の横に、三篠が使ったであろう刀があった。
これでなら切れるよね。
刀を使って軽く手首を切ろうとすると、紅葉に止められた。
「…小雛様、おやめください!
小雛様まで傷ついてしまったら、私はどうしたら……」
涙目で見つめてくる、紅葉。
紅葉……
主人がこんな状態なのに、私のことまで心配してくれるんだね。
優しいな、紅葉は。
きっといい環境で育ったんだろうな。
「…ありがとう。
でも私は自分が苦しむよりも、誰かが苦しんでるのを見るのが一番苦しいの」
だから、ね?
ニコッと笑って小首を傾げる。