「そっかー、また百合妃さんにお守りつけられたんだ」





赤茶髪のパーマのかかったショートボブに、ピンクの大きなリボンが付いたカチューシャをしている親友・亜子(あこ)は上を向いていた。




「…ほんとにもう嫌なの。
だって16年間も何事もなかったのに、まだこんなのつけるなんて」




私の口から自然と出た、ため息。




ちなみに百合妃(ゆりえ)とは私のお母さんの名前。




「…でも百合妃さんも雛のことを心配して、それつけたんでしょ?
心配してくれてるんだから、付けとかないと」




藍色のセミロングの髪をした親友・璃々音(りりね)までも、お母さんに賛成してる。




た、確かにそうだけど……




この二人は唯一、私の家のことを知ってる。




だからいつも愚痴をこぼすのは、この二人。




お母さんに迷惑かけたくないのも分かるけど、でもさすがにこれはもういらない。




「…でも誰だろうね!雛ちゃんの王子様!」




「……へ?王子様?」