私の声に気付くと、三篠はいつものように笑顔を見せた。
「…小雛、おかえり」
そしていつものように頭を撫でられる。
いや、いつもより三篠の顔色が悪く、声色も弱々しかった。
「…三篠?顔色が悪いけど、大丈夫?」
三篠の顔を覗き込む。
でも三篠は自覚がないようで、首を傾げた。
「…そうか?あ、最近寝てないからな、
きっとそのせいだ。
だからお前は何も気にするな」
三篠は笑って私の前髪を梳いた。
でもその笑顔は無理して笑っているとしか見えなかった。
「…三篠様……小雛様にもお話ししてもよいのでは……」
「…紅葉が気にすることじゃない。
お前はしっかりと小雛を守っていればいい」
紅葉が心配していたけど、三篠は冷たくあしらった。
紅葉は三篠が無茶をしてる理由を知ってるんだね。
でも三篠に口止めされてるから、私には言えない。