「わ、私が三篠を好きだなんて、そんなこと………」
『ある訳ない』
その言葉は言えなかった。
なんでかは分からないけど。
でもある訳ないこともないという考えが頭をよぎったせいだと思う。
あんなにストレートに『好き』とか『愛してる』とか言われたら、変に意識してしまう。
実際に気にして、三篠のこと心配してるし……
そして何よりも三篠は、私のことを第一に考えてくれている。
三篠の隣にいると、不思議と安心するし……
この気持ちは……何?
これ以上考えても答えが出ないから、考えるのやめよ。
「…そ、そういえばさ!?
鵺姫の傷は妖王のキスで治せたけど、妖王の傷はどうやって治せるの?」
声が裏返りつつも話を変えた。
話を変えたことに少し表情を曇らせていた紅葉だったけど、しばらくして質問に答えてくれた。