栗色のストレートボブに黒い瞳、中学2年の妹・来海(くるみ)が自分の履いていたスリッパで大地の頭を叩いた。
そしてまたスリッパを履き直した。
「痛てーな!何すんだよ、るみ姉!」
大地は両手で頭を押さえて来海を睨む。
でも来海は無視してお茶を飲んでいる。
ふっ、私に失礼なこと言うから痛い目みるのよ。
私は心の中でガッツポーズをして、玄関に向かった。
「……小雛、忘れ物よ」
玄関で靴を履いてるとお母さんが早足でやってきた。
そしてお母さんは私にお守りを首からかけた。
「こんなのつけなくても平気だよ、お母さん。何か起こったこともないし、それに私もう16だよ?」
困ったように笑うと、お母さんはため息をつきながらお守りをワイシャツの中に入れた。
「駄目よ。あなたは鵺姫(やひめ)なのよ。妖怪に血肉をいつ狙われてもおかしくないんだから」
お母さんはお守りを入れるとニコッと笑った。