「…小雛様、初にお目にかかります。
く、紅葉と申します。私のことは紅葉とお呼びください。
これから何卒よろしくお願いしましゅ…か、噛んでしまった!」
か、可愛い!
慣れない敬語に噛んでしまうところも可愛い!
可愛過ぎて頭を撫でてしまう。
ほんとは抱き締めたかったけど、我慢。
「…よろしくね?紅葉」
「は、はい!」
頭を撫でれば嬉しそうに笑う、紅葉。
それがまた可愛くて。
…ってちょっと待って。
紅葉の護衛を認めたら、自分は鵺姫と認めて三篠のものになるんじゃないの?
まだ鵺姫だって信じてないのに!
「み、三篠!私まだ認めた……」
認めた訳じゃないんだから。
それを言う前に、私の唇は三篠の人差し指が当てられたことによって止まった。
「…返事はこれから俺のことをもっとよく知ってからでいい。俺はいつまでも待つ」
「…そ、そう…ってそれじゃなくて!」
反論する前に、三篠は鏡を使ってあっちの世界に帰ってしまった。
「こ、小雛様……?」
紅葉が心配そうに私の顔を覗き込んでくれる中、私の世界は狂い出した。