三篠が私の元にやってきて、頬を優しく撫でられる。
なんでそんなに私に優しくするの?
「…ねぇ、どうして私が必要なの?私が鵺姫だから?」
私の頬を撫でる手が止まった。
なんか私の言い方が恋人みたいな言い方だ。
「…確かに俺には鵺姫の力が必要だ。
でもお前が例え鵺姫じゃなくとも、俺にはお前が必要なんだ」
私が鵺姫じゃなくても、私が必要なの?
だって鵺姫の力を欲して妖怪は私を狙う。
鵺姫じゃない私なんかがいても、なんの利益にもならないでしょ?
「…最初は鵺姫の力が欲しくて、お前を見ていた。でも見ているうちに考えが変わった。
明るく真っ直ぐに生きてるお前を見て、鵺姫のお前よりも、人間のお前が欲しくなった」
「……え、それって……」
鈍感な私でも分かってしまった。
三篠はふっと優しく笑った。
「…愛しているんだ、小雛。人間としてのお前を」