そして家を出る時に、またお母さんがお守りを持ってやって来た。
「…小雛、またこれを忘れてるわよ?」
ニコッと笑って私にお守りを首にかける、お母さん。
「…お母さん、何度も言うけどそれ「付けておけ」
「…え?」
お母さんに必要ないと言おうとしたら、いつの間にか隣にいた三篠が囁いた。
「…お守り(それ)から強力な魔除けを感じる。
そのお守りがあるから、お前は16年間無傷だったんだ。だから付けておけ」
冗談でしょ?
そう思ったけど、三篠の目が冗談ではないことを物語っていた。
これってそんなにすごいものだったの?
私は何も言わずにそのお守りを首にかけた。
「…あら、今日はいらないって言わないのね?
やっと鵺姫だと自覚したのね。安心したわ」
お母さんは私の行動に首を傾げたけど、やがて嬉しそうに微笑んだ。