まるで江戸時代にでもタイムスリップしてきた感覚に陥った。




胡蝶ノ国に着くとそこは江戸時代に実在した遊郭、吉原みたいに豪華な遊郭が建ち並ぶ。




「あら、三篠様ではないですか!みんな、瑠璃葉が三篠様を連れてきたよ」




一人の遊女の声に建物の中にいた遊女達が一斉に出てくる。




「…ほんとだ、三篠様がいらしたわ」


「夜のお遊びなら付き合いますよ、三篠様」


「アタシは桔梗様でもよろしいですわ、ぜひご指名してくださいまし」




髪を綺麗に束ねた遊女達が三篠と桔梗さんの腕を引っ張り、誘惑している。




桔梗さんは苦笑いしてるけど、三篠は満更でもなさそうに笑ってる。




私よりも色気があって美人なのは認めるけど、なんだかモヤモヤする。




そっと三篠の隣に立ち、三篠の腕に密着する。
三篠は目を見開いて私を見たけど、やがてふっと笑った。




そんな私をようやく認識した遊女の方達は、私を見るなり今度は私に近寄ってきた。




「この子、鵺姫様じゃないかい!?」


「そうよ!三篠様が女の子を連れているということは滅多にないもの」


「人間の鵺姫様を見るのは初めてだわ!
なんて小柄で可愛らしいのかしら」


「え、あ、わ!!」




三篠と桔梗さんに群がっていた遊女の方達が、一斉に私に群がってきた。




私の手やら髪やら顔やらを触られまくる。




こんなに妖艶な方達に近付かれてあちこち触られると、同性なのに変な気持ちになってしまう。




全身の水分が沸き立つように熱い。









「…ちょっとアンタ達、そんなに姫様に触れるんじゃないよ……ったく聞いちゃいないよ」




小雛が遊女達に囲まれている時、瑠璃葉が止めに入ろうとしたが最早彼女達に聞く耳は持ち合わせていなかった。




このままじゃ……
瑠璃葉は恐る恐る三篠の方を見る。




「…俺だってあんなに触ったことないんだぞ」




口を尖らせて子供のように拗ねる三篠を見て、瑠璃葉と桔梗が深くため息をついたのは別の話。