「…人間はどうしてこうも朝が早いんだ。
妖怪の朝は遅いのに」
「……っ!」
やっぱり夢なんかじゃなかった。
私の部屋の窓にいたのは、昨日出会った半妖の三篠だった。
「どうしてここに……?」
訳が分からない。
とにかく分かったのは、昨日の出来事は夢じゃなかったってことくらい。
「…昨日言っただろ?あの鏡を鵺姫であるお前が触れたことで、俺はここに来れたと。
だから俺はこうして自由に人間界に出入りできる」
眠そうに欠伸をする三篠。
じゃあ、昨日鏡を触ったことでこうなったってこと?
鏡を触ることが運命を変えるなんて……
今度は気安く物に触れないようにしないとな。
そう思いながらジッと三篠を見つめてしまう。
昨日は夕方に会ったからあまりよく見えなかったけど、こうして見るとやっぱり綺麗。
髪の長い男の人は好きじゃなかったけど、それが似合ってしまう三篠はとても美しかった。
サラサラと風に靡く金髪。
澄んだ灰色の瞳。