「…三篠から聞きましたよ?六臣の皆様と顔合わせしたそうですね」
深寿さんはお湯を肩にかけながら聞いてきた。
私は深寿さんを見て、また星空を見つめた。
「はい。みんな個性的で一緒にいてすごく楽しいです」
氷雨さんとはまだ話してませんけど。
と言うと、深寿さんはアハハと苦笑いしていた。
「…氷雨は三篠を尊敬していて、三篠のことが好きなのですよ。だから三篠に愛されてる鵺姫様に嫉妬なさってるのです。
じきに諦めると思いますから、問題ないですわ」
じきに諦めるって、さりげなく深寿さんは毒を吐くな……
それに私が引っかかるのは…
「深寿さん。私のことは小雛って呼んでください」
「…え!?で、ですが……」
ずっと気になってた。
深寿さんに鵺姫様って呼ばれると、何だか他人のような気がして。
六臣のみんなは姫様とか砕けた呼び方で呼んでくれるけど、深寿さんはずっと鵺姫様。
私の提案に深寿さんはどうしようかと戸惑っている。
「鵺姫様なんて堅苦しいです。
私個人、深寿さんと親しくしたいのもそうですし、三篠の育ての親なら尚更、深寿さんともっと親しくなりたいんです」
だから小雛って呼んで下さい。
そう言うと、深寿さんは目を潤ませて私に抱きついてきた。
私にはない深寿さんの豊満な胸が、体に密着して恥ずかしくなる。
「…嗚呼、なんてわたくしは幸せ者なのでしょうか!まるで娘が出来たような嬉しさですわ!…ぜひ小雛様とお呼びさせて下さい」
深寿さんはニコッと笑いかけてくれた。
私も釣られて笑う。