渡部さんと佐伯くんが先生の呼びかけに応えてずんずんと前へ出た。
出席番号一番の私は、先生に議事録をとるように言われた。
議事録というか、どの委員にどの生徒が所属する事になったかプリントに記入するのだ。
前に出た二人は、委員決めの要綱を託されて視線を交わしている。

「渡部さん黒板に字書いてよ。俺しゃべっとくから」
「あ、はい。ありがとうございます・・・」
「じゃあ風紀委員やりたい人ー!えー、いないのー?二人二人!」
「・・・・・」
「じゃあ、体育委員は?男女一人ずつ!・・よっしゃ前田ー!」
「・・・・・」
「女子いない?女子!大橋さんとか運動できそうじゃん!え、だめー?」
「・・・・・」
「じゃあ次々!ちょっと、みんな様子見てるでしょー?早く手挙げてよね!図書委員!」

めっちゃ喋るな、佐伯くん。
なぜ委員長決めのときかたくなに口を結んでいたのだろうか。もうお前が委員長だよ。
渡部さんは、第一印象通り几帳面な字で黒板に役職名を書き上げていた。
どうやらペンと同等レベルにチョークを使いこなせるタイプの女子らしい。

「おっ、足立ー!図書委員?」

どうやら私の後ろの男子が続いて手を挙げたらしかった。
同時に、女子の心なしか熱い視線が私の背中方面に刺さった気がした。
図書委員の欄に足立と書いて、後ろを振り返ってみた。
確かになかなか眉目秀麗。
クラスの中ではいちばん整ったお顔じゃないかしら。

「図書委員もうひとり!いないかー・・・じゃあ後ね!えっと、次は・・・あれ、足立、まだ何かありそうな感じ?」
「浅野さんを図書委員に指名します」
「!?」

私は目を剥いた。
今、何が起こった・・・?