「ガチャ…バンッ」

ふぅ~…片道4時間半の道を一人で運転ってやっぱりキツかったなぁ…

「ん~、はぁ~…」
真冬だと言うのに疲れた心を一瞬で癒してくれる辺り一面に広がる海。
気持ちよく伸びをしておじいちゃんの別荘に入る。

佐々木舞花(ささきまいか)現在22歳の私は来年10月にこの海で愛する彼と結婚式をあげる予定で、幸せな毎日をおくっている。
だが……、この2日間で彼女の人生は少しずつ変わっていくのだった…。

ここはおじいちゃんの別荘で去年の夏、いつも通り皆でここに遊びに来たときに、うっかりスーツケースを忘れてしまって、それに気が付いたのは半年後の現在の2月だったって訳で…、仕事の関係でどうしてもスーツケースが必要になった私は新しく買うこともできなくて、仕方なく一人で一泊二日で取りに来ていた。
元々ポジティブな私は、たまには一人の時間も大切かなぁ?何て考えながら、どうせなら楽しみたいと思っていた。


『えぇっと、これで最後かなぁ??』
荷物を車からおろして部屋へ運ぶ。
いつもは大人数だから荷物も大量だったけど今日は一人だからやたらと少なく感じる。

「おじゃましまーす」
っと、小声で呟いてリビングとなる部屋の大き目のソファーに腰を掛けて、再びふぅ~っと深呼吸。

「………………。」

(………静かだなぁ…。一人なのに楽しむことなんてできるのかなぁ……)

『よいしょっ、やぁっぱり私には一人旅行なんてあってないのかねぇ??』
何て言いながら、立ち上がって台所へ向かう…

『キャ!!!!』「ドッテーン!!!!」

何かにつまずいてつい転んでしまった。

『ッタタタタァ… もぉ何よ!こんなところに! ……ってあれ…?何もないじゃん… 私何に引っ掛かったんだろぉ…?? 変なのっ』

冷蔵庫にジュースやパンなど、色々詰め込んでポテトチップスの袋を片手にリビングへ戻る。