黒髪黒眼、
男子の中では幾らか小柄で、
顔も幼い。

クラスに友人はおらず、
いつも静かに読書している。

そんな彼、
追原数兎はクラスで一番の秀才らしい。


対して私はというと、
現在黒板の前で数Ⅱに苦戦中。

クラスの視線が集まる中、
どうにか答えまで辿りついた。

しかし、
チョークを置こうとすると、
聞こえてきた。


『あ、符号、間違えてる』


ざっと式を見直すも不明、
とりあえず答えに横線を追加。

「はい、正解です」と、
答えしか見ていない教師の台詞。

席に戻る途中、
ふと彼を見ると、
少し黄色っぽい。

何やら喜んでいるようだけど、
顔は無表情。


ズルをしているようで、
少し心苦しい今日この頃。

私、仙石千鳥には、
黒兎の心の声が聞こえる。