「咲っ!ね、ね、ね、ねぇ!?」
あたしたちはバスから降りてカラオケへ向かっていた。
「んー?なに?」
咲は相変わらずスマホを見てなにかしてる。
ながらスマホは良くないけどねー。
「く、空也くん!空也くんだった!!」
あたしはとりあいず空也くんに再会したことを咲に伝えたかった。
実は咲もめいちゃんも高校になってからの友達だから、高校がバラバラになった空也くんのことを見たことがなかった。
「はいはい。....って、え!?あの、羅愛の初恋あの人!?」
スマホから顔をあげて、ちょっとしたことじゃ驚かないあの咲が声を張り上げた。
「ちょ...っ!!声でかい!///」
まわりのひと見てんじゃん!
「あぁ、ごめんごめん。てか、まじであの人なの?」
全然ごめんな感じしないけどまぁよし。←
「ホントだって!だって、神崎って言ってたし、空也って呼ばれてたもん!」
あたしがちゃんとこの耳で聞きましたから!
「へぇ。あんなイケメンとは思わんかったわー」
咲がニヤニヤしながらあたしを見た。
「....っ!////」
あたしは思わず赤面した。
だ、だって、空也くんの笑顔思いだしちゃったから...。
「でもさ、すっごい偶然じゃない!?」
咲がたまに見せるキラキラした笑顔で言った。
咲ってあんな性格だけど好きなんだよね。こーゆー運命的なの。
「あ、でもさ。」
アハハ、急にいつもの顔に戻ったな。
「向こうはあんたが羅愛って分かってくれたの?」
.............え?
そ、そーいえば....
なんかあたしが思わず
「まっさかー!空也くんなわけないよねー!」って言っちゃったとき
空也くん、確か...
「え?なんで俺の名前...?」
とかなんとか、言って、た、、、?
てことは、あたしのこと...
分かんなかったってこと?
「分かって、なかったかも...」
あたしはさっきまでのテンションはどこへやら、涙目で咲に言った。
「はぁ!?」
咲がまたもや叫んだ。
ごめん、咲。回りからの目線やばいて!
「で、でも!名前言ってないし、さ!?」
あたしは自分に言い聞かせるように言った。
「はぁ...。羅愛、そのままでいーの?」
え?
「せっかく会えたんじゃん。せめて空也くんに羅愛があんただったことぐらい言わなきゃ。」
そうだよね...。
「でも、もう会えないかも。」
あたしは俯いた。
「羅愛...。あんたって...『いらっしゃいませ~♪』
えっ?!
ココドコ!?
あ。カラオケか!
そーいや、カラオケ行ってたんだっけ?
空也くんのことですっかり忘れてた!
『何時間コースにされますか?』
ここのカラオケ店の制服らしき服のよく似合う目のぱっちりした可愛らしい店員さんがたずねてきた。
んー、今日は三時間くら...「フリータイムで。」
おぉ、さすが咲さん!
「ほら!いくよー」
咲はもう既にエレベーターにのって、ボーッとしてた急かしてきた。
って...
「ちょ!まっ!閉めんな!!」
咲が開くボタン押してくれなかったから、あたしはおもわず閉まりかけた数㎝の隙間に手を掛けて開いた。
「おぉーーー。」
咲、おぉーじゃないし!!
開けててくれてもいーじゃん!
まぁ、咲だししょうがないか←
「ふぅ...」
なんか疲れたわ。
ウィィィィィー...
あたしたちは三階までエレベーターで上がっていった。
咲なんかずっとルンルンしてるし!
ウィィィィィーン。
エレベーターが開くと、PerfumeSのポップなメロディーが流れてきた。
あたしもルンルンしてるかも♪
ガチャ
「307...307..あ、あった!」
どうやらあたしたちはドリンクバーの隣の部屋、307号室みたいだ。
ちなみにドリンク飲み放題!
「飲み物、なにがいい?羅愛はやっぱカフェオレー?」
咲はあたしのぶんも持ってきてくれるらしい。
「うん!冷たいのね!」