プレハブに着いてからは、頭の回転は遅く結局授業など受けていない。


それよりも手汗が半端なかった。


「何、わたし強がってんだろ…」



死ぬ覚悟なんてない。
あったとしてもほんの少しだ。



でも、




「なんか、さっきのわたし頑張ったなあ…。」



笑みがこぼれてしまう。


言いたいこと言えてよかった。まだまだ伊藤星七には言いたいことがたくさんあるが。


「よし、自習しよう!」



と、思ったがノートと筆箱をどこかになくしてしまった。



「あれ…さっきカバンここに置いたんだけどな…。」


カバンも無くなっていた。





でも持ってきたのは伊藤星七たちが朝学活しているときだったし、そのころわたしは屋上にいたけど







じゃあ、誰の仕業だ…?




「ごめんなさい。」



「ギャアアアアアアアアアアッッ!!!」



思わず大声を出してしまった。





わたしの後ろに突然現れたのは、見たことのない女子生徒だった。



「ごめんなさい。勝手にノートと筆箱あさってました。」


そういって女子生徒は私にノートと筆箱を返却してきた。



「あ、は、はい…。」





ぎこちないが受け取れた。



「あのぅ、お名前は…?」



「へ?!…あ、ああ名前は…石崎きこです…。」