ーsideアレスー

俺は食堂に向かいながらさっきの事を思い出していた。

…ミリヤのまっすぐな深海を思わせる様な目。

…今までは何かに怯える様な目が多かったが、あの目は〝自分の意思は曲げない。〟そう語っていた。

あんな目が出来るだなんて思わなかった。

…ユウキだから、出せたんだな。

まだ…俺が守らなくては、と考えていたけど、違う様だ。

…ユウキが本気なら時間の問題か。

俺は自分の右耳に付いているピアスを触った。

この国では男子は生まれて直ぐにピアスホールを開けられる。左右1つずつ付いているピアスを1つだけ自分の決めた異性に渡して、異性の片耳にピアスホールを開けてピアスを付ける事はプロポーズと同じ意味を持つ。

相手はピアスを受け取れば了承になる。…だがミリヤのあの様子だとユウキから渡されたら受けとるだろう。

この話しは知らないだろうけど。

………。

俺は見ているぞ。ユウキ。ミリヤを泣かせたら承知しないぞ。