「俺は好きでこの仕事してるんだし、近衛騎士の、しかも隊長クラスがそうそう休みなんか取れない。」…休むとミリヤに会えなくなる。それが一番の理由だけど、言えない。

「まだ、稽古中だから切るから。」そう言って直ぐに切った。…そうしなかったら追及が始まるから。

「ユミって誰?」冷たい声がして、振り向くとミリヤが居た。…ん?なんで怒ってるんだ?

「ご実家に帰れない本当の理由ってわたし、なの?」…もし、そうならわたし、スゴくユウキにとって迷惑ね?そう続けた。

「それは違う。話しを聞いてくれ。ユミは俺の妹。実家に帰りたく無いのは母さんがいろいろ五月蝿いから。」ミリヤは黙りこんでしまった。…信じてないか。

……我慢してたけど、潮時だな。俺はミリヤを抱き締めた。

「…このままで聞いてくれないか?…俺が帰りたく無いの一番の理由は俺がミリヤの側に居たいから。ミリヤ、好きだ。…友人では無く、一人の女性として。」ミリヤは目を大きく開くと俺の事を抱き締め返してくれた。

「わたし、ユウキと話していて楽しいのもドキドキするのも友人だからだって思ってた。だけどさっきユミさんの事聞いたら心が真っ黒になって、それで分かったの。わたしはユウキの事が好きなんだって。」真っ黒になったのは嫉妬、だったんだよ?と上目遣いで言われた。