「──そうだったのですか…」執事が言うと

「姫様から伺った話しですが、『人前で弾いたのは音楽の先生以外では初めて』だと。…自分のピアノが非難される事を恐れているのだと私は考えています。」と言った。

「姫様のピアノは称賛されて当然の物です。…私は姫様にあの場に居た全員は称賛を口にしていた、とお伝えしたいと考えています。」と執事は言ったが、

「ユウキが伝えたが…信じられないそうだ。今、城内の人間で一番ミリヤが信頼を寄せているのはユウキだ。…俺が伝えても、イヤ、誰も同じ事を言っても逆に取られる可能性がある。」と団長が言った。

部屋に沈黙が降りた。

「…今、ここで言っても何もならない。ミリヤが起きたら呼ぶ。その時にもう1度、話してみよう。」と団長が執事に言った。

「分かりました。失礼します。」と執事が言い、部屋を後にした。

「…団長、」俺が言うと団長は

「何だ?」と言い

「姫様の件ですが、憶測の域を出ませんが、誰かに強く非難された事があり、姫様は苦しまれてるのでは無いでしょうか?」と言った。