……は?

「理由を知るまでわたしはこの傷が虐待に因るもの、施設で育ったのも両親に捨てられたからだと考えていました。…ですがそれが間違いだと、今ようやく分かったからです。」そう言うとミリヤは

「お兄さま、何故わたしはシルフィではなく、日本に居たのでしょうか?」…!それか──

「……長くなる。それでも聞くか?」そう前置きをしたが、頷いたミリヤを見て誘拐の真相を話し始めた─。

俺たちには世話係りが居た。

名前は俺の方がタカヤ、ミリヤがアヤネと言った。…俺もミリヤもそして父上たちも二人を信頼していた。…ある事件が起きるまでは。

ミリヤが一歳を迎える前日──どしゃ降りの雨が降っていた。俺は寝ていて、両親とタカヤ、アヤネが口論をしているのが聞こえ声がする方へ向かった。俺が見たのは何故かミリヤを抱き抱えるアヤネとアヤネを庇う様に立つタカヤ。相対する様に立つ父上たち。…見たとき何が何だか分からなかった。すると突然アヤネの後ろにあった窓を割り、アヤネはミリヤ共々飛び降りた。…直ぐタカヤは捕まり、ミリヤを助ける為に警戒網を張ったが、役に立たず唯一分かったのが「この国には居ない」と言うこと。だった。勿論その先も外国を探し回ったが、見つらなかった。十数年経ったとき日本で行われた世界学生コンペで出場した一人の女の子を俺は見つけたんだ。…とても懐かしい、暖かい気持ちにさせる子で、気になった俺はその子の事を調べたんだ。…調べて、居なくなったミリヤと条件が有っていて、null型として血液センターに登録されていたから間違いないと、父上たちに進言して、今に至る。