「ねぇ、お母さん!これ変じゃない!?」
「あらあらどうしたの。そんな可愛く決めちゃって」
「ねぇ、変じゃないっ?」
「大丈夫!十分可愛いわよ心ちゃん!さっすが私の娘ねぇ、ファッションセンスがイケイケだわ!」
「あ。いや…服と髪と化粧は……えっと、」
「そんなお洒落して何処行くのかは分からないけど、とにかくきまってるから楽しんで来なさい」
「う、うん。分かった!行ってきまーす」
「はい、行ってらっしゃい」
笑顔でそう出迎えてくれるお母さんにあたしもふわりと笑って、勢い良く玄関の扉をガチャリと開けた。
―――あの矢沢君が遊園地に誘ってくれた日から早数日。
あっという間に、待ち望んでいた今週の土曜日がやって来た。
実際リベンジして来いと言われたからにはあたしなりに結構この数日で出来る限りの事を頑張った。
友達の由希に服を買いに行くのを手伝ってもらって、化粧品も買いそろえて、髪の巻き方や化粧の仕方もしつこいって思われても可笑しくない程何度も教えてもらった。
その甲斐あってか、あたしは軽いゆるふわヘアとナチュラルメイクまでは何とか出来るようになった。
まあ実際には由希の教え方が凄く上手だったおかげなんだけれども。その由希のおかげで、身だしなみはちゃっかりキメる事が出来た。
矢沢君がどんな反応をしてくれるのか、今からちょっと楽しみである。