そう言って少し顔を歪ませる久瀬先輩に、あたしはそっと言葉を続ける。
「………っ、あたし、今まで久瀬先輩にたくさんお世話になって、色々良くしてくれて…、本当に嬉しかったです」
「…………」
「……久瀬先輩と仲良くなれたのだって、今思うと奇跡に近い事で、有り得ない事だってずっと思ってました」
「…………」
「……出来ることなら久瀬先輩の隣に居たいって、ずっと思ってました。……凄く凄く、久瀬先輩の事が、大好きでした」
「……本当に、ありがとうございました」
あたしがもう一回頭を下げてそう言うと、
「……何だか僕、振られたみたいだね」
薄い苦笑いを浮かべた久瀬先輩が、小さな声でそう言った。
「……っ、ご、ごめんなさい…！気を悪くさせてしまったら本当にすみません…！今までずっと、大好きだったんです。先輩を直視するのも難しいくらい、大好きだったんです」
「………」
「…でも、久瀬先輩以上の人が出来てしまって、……今はもう、久瀬先輩への恋心も良い思い出なんです…」
「……、心ちゃん」
