あたしと似てる絢さんを、決して憎んでいるわけではない。
ただ、その絢さんと言う存在に嫉妬をしてしまっているだけだ。
でないとこんな事でいちいち胸を痛めたりしない。
本当の事なんて一つも分からない。
なのに余計な事を色々と考え込んでしまうあたしは、どうしようもない大馬鹿野郎なんだろうか。
―――いや、今更矢沢君への感情に気付いてしまった時点で、あたしは大したお間抜け野郎なんだろうと思う。
いきなりすぎて、本当に本当に、今更だ。
その後、何の変化も伺えないままあっという間に3日が過ぎた。
今日も一日中、クラスメイトの由希と一緒に行動を共にする。
此処数日は、矢沢君が一体何をしてるのかも全く分からずで、ちゃんと学校に来ているのかどうかって事も、全く分からないでいる。
「心ー、次音楽だよ。歌のテストだってさ」
「えぇ。あたし、みんなの前で歌えないよー」
「大丈夫よー。あたしと歌うんだから」
そんな他愛もない会話をしながら、あたし達は最上階にある音楽室へと向かった。その後のテストは、当然の如く緊張して声なんて全く出なかった。そんな自分に、ちょっとだけ項垂れた。