「ほんっとうに蒼稀君は悪くないから気にしないでね」
あたしがそう言うと蒼稀君はまだ少し納得していないような表情を浮かべた。
「矢沢君との事はちゃんとどうにかしなきゃって思ってるし、このままでは終わらせちゃいけないと思ってるから、大丈夫だよ」
「…心ちゃん、」
「わざわざ気にしてくれてありがとう、蒼稀君」
「いやいや、礼言われるような事じゃねえって。心ちゃん良い子だよなホントに」
「えっ、…いや蒼稀君ほどではないよ」
あたしがそう言うと、蒼稀君は「へ!?」と驚いたような声を出して少し照れたような素振りを見せた。
「なんかシンにはもったいねえよなあ」
「えっ、そんな事初めていわれた…」
「ハハ、俺は心ちゃんの事大事な友達だと思ってるからさ、何かあったら構わず相談してくれよな」
「そ、蒼稀君…」
蒼稀君に友達だと言われてついジーンとしてしまう。
最初会った頃は蒼稀君の事を軽そうな男だなとか思ってしまったけれど、でも実際全然そんな事はなくて本当は友達思いの優しい人で、こんな蒼稀君だからこそ矢沢君も心を許しているのかなと思った。