「そもそも、どうしてそんなに溜め息付いてるの?」
購買で買って来たらしい袋菓子をちまちま食べながらそう言う由希に、あたしは一瞬戸惑ってしまう。
「あ、もしかしてまた矢沢君?」
「…………」
肩が少しだけピクリと動いた。
「……い、いや、矢沢君関係じゃないよ」
「そうなのー?」
「うん」
嘘を見抜かれそうなほど顔を覗きこんで来る由希に、あたしは小さく頷いて薄く笑っておいた。
「…………」
矢沢君は多分、怒っているんだろう。
こっちが一方的になって色々ぶつけたのは事実だし、最近よく聞く矢沢君の機嫌の悪さも、きっと確実にあたしの所為に違いない。
絢さんの事は、まだ何一つ解決していない。
知るのは怖いけど、ちゃんと聞かなきゃいけないと言う事だけは、あたしの頭でもちゃんと分かっている。
―――だって、普通に考えて元カノとあたしが似ているなんて、絶対に可笑しい。
何かあるんじゃないかとつい思ってしまうのは当然な事だと思う。
そう思う度に、胸の辺りがチクチク痛み出す。