「あの、……遊ぶつもりなんてないんで、離して下さい」
言葉とは裏腹に心臓は物凄く焦りと化していて、ドクドクしている。
目の前の金髪男はニヤリとした嫌な顔で、あたしをスッと見下ろして来た。
「生意気な事言ってるくせに、手が震えてるよ?」
「…………」
「ぶつかったのも何かの縁かもしれないし?…良いから大人しく付いて来いよ」
「…………か、帰ります」
まさに理解不能だ。馬鹿な事ばかり並べる金髪男のチカラは、想像以上に強い。
あたし、本当についてない。
「何処行こうかー?」
「……ちょっ、」
淡々と軽い声でそう言う金髪男は、あたしの腕を無理やり引っ張って何処かへ行こうとする。
「は、離して…!」
あたしはそんな金髪男に掴まれた腕をブンブンと振って、精一杯の抵抗をし続けていると、
「……何してんだよ」
「痛っ……」
いきなり背後から聞こえた低い声が、あたしの耳に大きく響いた。